真菰とは
真菰は、沼や川などの水辺に群生するイネ科の多年草で、学術名はギリシャ語で「Zizania(ジザニア)」。1億年も前から同じ姿を保ち、日本各地に自生しています。日本人にとって、真菰はとても身近な植物です
日本最古の書物「古事記」や「日本書紀」にも登場する真菰は、多くの神社で神事に使われています。日本最古の神社である出雲大社は、数十メートルもの大しめ縄に真菰を使用。毎年6月の大祭では参道に真菰を敷き、神事のあと、参詣客がその真菰を家の宝として持ち帰るそうです。神社によっては、真菰を「病気を癒すもの」「邪気を払うもの」「浄化するもの」という意味を持つ霊草と考えるほか、八幡神社など、多くの神社で真菰は神聖なものと考えられています
真菰の実は、日本に米が伝来するまで、貴重な穀物とされていました。豊富なタンパク質をはじめ、ビタミンやミネラル、食物繊維を含むことから、北米大陸の先住民は「ワイルドライス」と呼んで、今も食べ続けているそうです
真菰の肥大した茎も食用となり、「マコモダケ」と呼ばれます。マコモダケに寄生する黒穂菌の胞子が成熟すると、墨のように真っ黒になることから、江戸時代までの既婚女性は「マコモズミ」と呼び、虫歯予防やカルシウム不足の予防としてお歯黒に用いていました。かつての日本人は、真菰が持つ力を暮らしの中に取り入れて、健康のために役立てていたようです
真菰は現在、水質浄化の働きがあることで注目を浴びていて、琵琶湖や霞ヶ浦のほか、水鳥の生息地として動植物の保全を促すラムサール条約に指定登録されている宮城県の伊豆沼・内沼などで、真菰を使った水質浄化事業が行われています
そのほか、真菰は多くの水棲生物に餌場や産卵場所、隠れ場所を提供する植物としての役割も担っています。生態系のバランスを保つための潤滑油のような存在でもあるのです


